アメリカ暮らしと子育てと

アメリカに住む主婦の家の事あれこれ記録

ペットの火葬

麻呂が逝ってしまった後、ぼぉっとした頭を働かせた。

死後硬直する前に体勢を整えてあげないと…。

麻呂が使っていたバスタオルとペットシーツを机に用意した。

ペットシーツの上にバスタオルを広げて、力の抜けきった麻呂をそっと乗せた。

まだ温かい。もしかしたら寝てるだけなのかもしれない…そんな気がした。

手足をそっと折り曲げて、バスタオルで包み込む。こどもをお包みで巻くのに似ていた。包むときに保冷剤をお腹あたりにいくつか置いた。

クーラーの直接当たるところへテーブルごと移動して、お供えに麻呂のご飯とお水を側に置いた。

あぁ…可愛い麻呂。今まで本当にありがとう。

あなたに私は何かしてあげれたのかな。

本当に色んなものをくれたね、ありがとう。

どうか、神様。麻呂のことを宜しくお願いします。

そう神様にお願いした。

翌朝、テーブルに横たわる麻呂を見て寂しくなった。

でも麻呂の身体が壊れていく前に早く火葬なり土葬なりしないといけなかった。

ネットで調べて、何軒か病院と火葬場に電話した。

値段はバラバラだった。

グループ火葬か個人火葬か…。

近所の病院が、値段も対応も良く頼むことにした。

こどもたちを起こして、硬くなってしまった麻呂をキャリーバッグにそっと入れた。そうして地下鉄で病院に向かった。

病院に着くと、飼い主さんと犬や猫たちがいた。

キャリーバッグを指差して、「猫ちゃん?わんちゃん?」と笑顔でこどもに話しかけてくれた夫婦に、申し訳ないと思いながら「猫です。でも亡くなっちゃって…」と答えた。夫婦はひどく辛そうな顔をして、慰めの言葉をかけてくれた。

受付の人が気がついて、「さっき電話してくれた人?こっちの部屋に案内するね。」と誘導してくれた。

誘導してくれた部屋で、書類を渡された。

霊園の名前が書かれた書類だった。そこにサインをする様に言われた。

サインが終わると、受付の人がまた慰めの言葉をかけてくれた。

キャリーバッグの中で眠る麻呂を撫でた。

ツヤのあるなめらかな毛。

本当に拾ったばかりの時から比べると随分と綺麗な毛並みになった。

近所の人からは会うたびに「彼の毛並みはすごくゴージャスだね!」と言われて自慢の猫だった。

お座り、お手とおかわりも覚える賢い子。

あんまり撫でると甘噛みして逃げるツンツンな子。

今日が最後の日。

病院へ残してくる時、涙が少し溢れた。

あぁ、連れて帰りたい。

まだまだ側にいたかった…。

まだ理解のできないこどもたちを連れて家路に向かった。

行きは肩にあった重みが、帰りは無くなっていて…また寂しくなった。